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アースデーにアートを考える
アースデーでなくても、最近やたら聞く「エコ」。
赤ちゃんからお年寄りまでGo Greenが合言葉になって、新鮮味に欠けるというか、食傷気味でさえあります。

私も環境のことを度々考えるのですが、どうもエコ商品っていまいち説得力のないものばかりです。
例えば、光熱費を節約しようと密閉性のある窓やドアに換えるよう政府まで推薦(1500ドルのタックスクレジット)していますが、はて、その古い窓やドアはどこへ行くのだろう。リサイクルされている可能性は限りなく低いです。
食器洗い機用の洗剤だって、環境に優しいと謳っているものは、お湯に溶けない、食器がきれいにならない、結局2、3回洗いなおさなくてはいけなくて水とガスの無駄。
他にもいろいろありますが、エコを謳っている割には、効能が平均以下というものも。

貢献したいけどそれなりのクオリティーや価格ではないのが現状です。

その延長で、先日もろてんさんのところで話題になった「アートと価格」の話。
不況で、海外の安い人件費で作った大量生産の製品を、売って売って売りまくっていた会社が次々倒産。
私は、エコの面でも経済の面でも、地産地消をもっと推し進めればいいんじゃないかと思います。
何か壊れたら、新しく買うのでなく、近くにあるお店で直す。
すぐ壊れるような、すぐ飽きるようなものでなく、人件費が高くても、ここでしっかり作られたものにお金を払う。
そうすれば、内需拡大になるではないですか。意味もなく海外で大量生産する会社を支持する時代は終わったのではないかと。

量販店で作られた、誰がデザインしたか分からないものより、作った人の顔が見えて、その作品を手に入れるのがかっこいい、みたいな風潮で、ここ数年アートとクラフトが盛んな動きを見せています。
それに追い風を送るように、Seth Godin氏の"Small is the New Big"が話題を呼んで、業種に関係なく、フットワークの軽い、小さな会社が注目を浴びるようになりました。
大きな会社が何人もデザイナーを雇って会議に会議を重ねた新製品より、個人が作ったものに人は共感する時代なんでしょう。

そんな動きにインスピレーションを求めてクラフトフェアに行くと、どうも消費者と製作者の両方から見てしまう自分がいます。
例えば、オリジナルは手描きのポスターで、売っているのはフォトコピーなのに$50とか、
方やシルクスクリーンで一枚一枚刷っているのに同じサイズで$20とか。

消費者としては、手が届く程度の値段はマスト、更にそこに少しでも手間がかかったほうがいい。
作る側としては、手間はかかっているのだから、それなりの値段で売らないと元が取れない。
両者の言い分は痛いほど分かります。
私も以前、洋服をデザイン・製作して売ったことがありました。
大量生産できない、サイズのバリエーション云々から、服をコンスタントに作ることは諦めました。
結局他の国に外注しているアーティストとの価格競争になっていたからです。

今は小物を中心にしているので、それほどのリスクはありませんが、他のアーティストのように、スタジオを借りたり、在庫を大量に抱えたりするリスクを負うとなると、価格設定は優先順位のトップに位置するほどの重要課題になります。

クラフターとしてクラフト好きの間で有名だとしても、いつ大企業がコピーするか分かりません。
実際、あるアーティストの作品がオイ●リーにコピーされていたと知ったファンがその会社の製品をボイコットしたりといった事件もありました。一人だけでなく、服飾アーティストもター●ットにコピーされてしまったのを知っています。とてもリスペクトしていたアーティストでしたが、彼女も服を作るのを辞めてしまいました(今は小物を作っています)。

アーティストは、自分の作品と共に生き残るにはどうすればいいのか。手っ取り早く他の大きな会社とタイアップしてそこに自分の製品を置いて貰う、大きな会社の資本で自分の商品を作ってしまう。大衆の目に晒されれば、自分の作品の知名度が増え、堂々とコピーされるようなことも起きない。

・・・でも、それってもともとの「大量生産の流れに逆らう」という志を自分で破ることにはならないでしょうか。

丁度、インディーバンドがメジャーデビューしたと同時に当時のファンが去ってしまうのと同じようなことが起きるのでしょう。

少し前、クラフトフェアでお話して、そのアーティストの作品を購入したのですが、最近大手書店でその人のレターセットを発見したとき、少しだけ寂しい気持ちがしました。
もうそこに彼女の「手仕事」はなかったからです。
でも、彼女にはこうするしかなかったのでしょう。以前から、海外の会社に作品をコピーされていて困っていると言っていたので。

ミレニアムのクラフトブームは結局は大企業に加担することで終わりを迎えるのでしょうか。

どうなってしまうんでしょう。気になります。
by retrojunkie | 2010-04-23 07:01
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